業務管理者を宅建士ルートで取得する方法【実務・指定講習解説付】

2023年2月18日

令和3年(2021年)6月15日、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(以下、賃貸住宅管理業法または同法という)が完全施行されました。

同法の重要な内容に「賃貸管理業者の登録制度」「業務管理者の設置」があります。

後者の「業務管理者の設置」では、宅建士も一定の条件をクリアすることで業務管理者としての要件を満たすことになったのです。

つまり、宅建士は宅建業法に基づく不動産仲介業務のみならず、賃貸住宅管理業法に基づく賃貸管理業務の業務管理者としても活躍する場が与えられたのです。

もちろん、宅建士と業務管理者の兼業は可能とされています。

業務管理者になる要件は以下のとおりです。

宅建士のみの資格保有者(賃貸不動産経営管理士資格無保有者)の場合、後者の方法を選択します。

【業務管理者の要件】

  1. 管理業務に関し2年以上の実務経験を持ち国土交通大臣の認める登録証明事業による証明を受けている者(賃貸不動産経営管理士)
  2. 管理業務に関し2年以上の実務経験(「賃貸住宅管理業務に関する実務講習」修了の代替可)を持つ宅地建物取引士で国土交通大臣が指定する管理業務に関する実務についての講習(指定講習)を修了した者
                                         

この度、私 MeoMeo は宅建士のみの資格保有者として業務管理者の要件を取得できました。

今回、その経験をご紹介しようと思いますので、宅建士かつ業務管理者の要件取得に興味がある方は今後の参考にしてみてください。

MeoMeo

宅建士に業務管理者の要件取得の道が拓かれていることはチャンスだよ!一般社団法人賃貸不動産経営管理士協議会HPhttps://www.chintaikanrishi.jp/も参考にしてくださいね。

⑴業務管理者を宅建士ルートで取得する方法

宅建士ルートとは、賃貸不動産経営管理士の資格保有なく、宅建士の資格保有のみで業務管理者の要件を満たす方法のことです。

下記図の「宅地建物取引士(宅建士)ルート」と記載されている部分が該当します。

1⃣宅建士ルートの2ポイント注意点

参照:賃貸不動産経営管理士協議会HP

業務管理者の宅建士ルートでは、2ポイントの注意点があります。

①宅建士(宅建士証保有者)である

宅建士ルートは、宅建士試験合格者や宅建士資格登録者ではなく宅建士(宅建士証保有者)でなければならない点です。

宅建士ルートを行う前に自分が宅建士証保有者か確認してね。もし保有していないなら、宅建士証の取得が先だよ。

②賃貸不動産経営管理士の資格取得は不可

例え業務管理者の要件を取得できたとしても、賃貸不動産経営管理士(国家資格)の資格取得はできないということです。

賃貸不動産経営管理士になるためには、国家試験を受験して合格する必要があります。

2⃣実務講習の解説

実務講習に関しては、賃貸住宅管理業業務管理者講習(指定講習)の受講を希望する宅地士のうち2年以上の管理実務経験を有しない者が受講対象になります。

<実務講習の概略>

受講費用20,000円(税込み)
受講環境パソコン及びインターネット通信環境
学習形態テキストを使用した自主学習及び e ラーニング形式
学習内容賃貸住宅管理業の実務知識全般
講習カリキュラム〇自主学習(教材)18時間
〇℮ラーニング(動画)7時間
〇修了試験 3講座各10問(多肢択一及び穴埋め方式)7割以上正解
修了証適切な全受講修了及び修了試験合格のうえダウンロード発行
参照:賃貸不動産経営管理士協議会HP/賃貸住宅管理業務に関する実務講習_受講案内 (chintaikanrishi.jp)

実務講習の詳細については、賃貸不動産経営管理士協議会HPの実務講習受講案内でご確認ください。

<実務講習の受講注意点・感想>

  1. 実務経験2年以上の有無については、賃貸不動産経営管理士協議会HPよくある質問での確認や同協議会に直接問い合わせをして判断してください。
  2. 自主学習用に送付される理解度確認テストは必ず実施しておいてください。このテストからも修了試験は出題されます。
  3. 修了試験は、自主学習と℮ラーニングを適切に受講すれば充分に合格できるレベルです。不合格でも複数回チャレンジが可能です。
  4. ℮ラーニング受講期間が60日期限で設定されていますので、ログイン後は早めに取り掛かってください。
  5. 宅建士業務にも役立つ情報が満載なので前向きな気持ちで取り組みましょう。
                                         

3⃣指定講習の解説

指定講習に関しては、管理業務に関する2年以上の実務経験(実務講習修了者含む)を持つ宅地建物取引士が受講対象になります。

<指定講習の概略>

受講費用19,800円(税込み)
受講環境パソコン及びインターネット通信環境(℮ラーニング形式)またはDVD発送(郵送形式)
学習形態テキストを使用した自主学習及び e ラーニング形式
※パソコン及びインターネット通信環境がない場合は DVD及び効果測定テストを郵送
学習内容「賃貸不動産経営管理士の知識と実務」<令和3(2021)年度版>
講習カリキュラム〇℮ラーニング(動画)9時間
〇効果測定 1時間 各10問(〇✕方式)7割以上正解 6講座×各10分
修了証適切な全受講修了及び効果測定合格のうえダウンロードまたは郵送発行
参照:一般社団法人全国不動産協会HP/賃貸住宅管理業業務管理者講習受講案内.pdf (zennichi.or.jp)

指定講習は2つの機関で同内容を実施します。                  

〇公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会                      宅建士向け賃貸住宅管理業業務管理者講習 | 全宅連 (zentaku.or.jp)                                                 〇一般社団法人全国不動産協会                                受講申込サイト (zennichi.or.jp)                                

指定講習の詳細については、上記各機関のHPでご確認ください。

<指定講習の受講注意点・感想>

  1. 実務経験2年以上を有する受講者は「実務経験証明書」を作成・提出する必要があります。なお、実務講習修了者は「実務講習修了証」を提出してください。
  2. 効果測定は、テキストの理解と℮ラーニングを適切に受講すれば充分に合格できるレベルです。不合格でも複数回チャレンジが可能です。ただし、テキスト「賃貸不動産経営管理士の知識と実務」<令和3(2021)年度版>はp1022に及ぶページ数があります。〇✕形式といえ、効率よく回答するには℮ラーニングの際に付箋をテキストに貼る等のメリハリをつけた方がよいでしょう。
  3. ℮ラーニング受講期間が2か月以内で設定されていますので、ログイン後は早めに取り掛かってください。
  4. 私は℮ラーニングで受講しましたが、修了証は郵送発行でした。修了証がダウンロードまたは郵送のどちらか不明である場合は機関に問い合わせてみてください。
                                         

⑵宅建士ルートの将来性は不透明?

宅建士ルートで気になる投稿記事があります。

業界に精通した方による「宅地建物取引士だけでは業務管理者になれなくなる?」の投稿についてです。

内容について言えば、将来的には業務管理者=賃貸不動産経営管理士の一本化が図られ、宅建士ルートによる業務管理者の道が絶たれる可能性があるとのことです。

私自身はその投稿内容について全く意見できるものではありません。

ただ、あなたに成功法をお伝えするなら、国家資格である賃貸不動産経営管理士を合わせて取得しますことをおススメします。

⑶業務管理者を宅建士ルートで取得する方法まとめ

令和3年(2021年)6月15日、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(以下、賃貸住宅管理業法または同法という)が完全施行されました。

の法律の中では「業務管理者の設置」が義務付けられ、宅建士も一定の条件をクリアすることで業務管理者としての要件を満たすことになったのです。

今回、宅建士ルートから業務管理者の要件取得した経験を以下のようにまとめましたのでどうぞご覧ください。

業務管理者を宅建士ルートで取得する方法まとめ
  1. 業務管理者を宅建士ルートで取得する方法
    • 宅建士(宅建士証保有者)であること
    • 賃貸不動産経営管理士の資格取得はできない
    • 実務経験2年以上有無の判断は慎重に行うこと
    • 修了試験や効果測定は教材や℮ラーニングを適切に受講すれば充分合格可能なレベル
    • 修了試験や効果測定は受講期間内であれば複数回受験が可能
    • ℮ラーニング受講期間が2か月以内なのでログイン後は早めに取り掛かること
    • 受講環境は原則としてパソコン及びインターネット通信環境が必要
  2. 宅建士ルートの将来性は不透明であり賃貸不動産経営管理士の取得も一案
                                         

私は、宅建士試験合格後長年手つかずであった宅建士登録を行い、宅建士証取得⇒実務講習⇒指定講習を経ることでようやく業務管理者の要件を満たすことができました。

長年放置していた宅建士試験合格をなぜ今になって活用するのか?

リスキリングを通して自分自身の可能性の再構築を図りたかった点があります。

宅建士の資格が、賃貸住宅管理業の業務管理者として関わることでさらに注目度を増したことは嬉しく思います。

過去に宅建士試験合格を手にしながら放置されている方がいらっしゃれば、この機会に業務管理者への挑戦を通してリスキリングを行ってみては如何でしょうか?

新たな人生の幕開けが待っているかも知れませんよ。

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Posted by MeoMeo